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国際協力

数か国で衛星観測計画が進められている第24太陽活動周期は、放射線帯やジオスペースを総合的に研究する貴重な機会となっています。たとえば、太陽活動最大頃を狙ったジオスペース探査として、アメリカのVan Allen Probes (Radiation Belt Storm Probes) プロジェクト [Reeves, 2007; Ukhorskiy et al., 2011] が現在進められています。また、ロシアではResonanceプロジェクトが計画されています。THEMIS計画は、内部磁気圏のプラズマの供給源であるプラズマシートの観測を継続する予定です。POES、GOES、LANL、GPSなどのモニター衛星もグローバルなジオスペース環境の情報を継続して提供します。これらの国際的な衛星群により、様々な地心距離や地方時での同時観測が可能になり、放射線帯やジオスペースの定量的理解を深めることができます。

衛星観測に加えて、国際的な地上ネットワーク観測は、ジオスペース系の状態を監視する非常に強力な手段です。SuperDARN短波レーダー観測網や磁力計観測網、光学カメラ観測網は、グローバルなジオスペース環境を理解するのに重要です。Balloon Array for RBSP Relativistic Electron Losses (BARREL) による気球上でのX線観測 [Millan and the BARREL Team, 2011] や、D層での電離を監視するためのVLF/LF標準電波の国際共同観測 [Clilverd et al., 2009] は、いつどこで相対論的電子が降り込むかを同定します。衛星と地上観測の連携は、非線形で複合的な系としての内部磁気圏における複雑なダイナミクスを解明するのに重要です。

このまたとない機会に効率的に科学成果を上げるためには、データ解析環境が鍵となります。衛星や地上観測、シミュレーションによる様々な種類のデータを円滑に解析する必要があります。ERG計画では、プロジェクトのデータ解析ソフトウェアとしてSPEDASを採用しました。SPEDASは既に宇宙科学の研究者の間で広く使われています。さらに、衛星と地上観測器の配置を手軽に調べるためのツール [e.g., Miyashita et al., 2011] は、プロジェクト間の共同研究を進めるのに非常に有用です。ジオスペースのダイナミクスの全体像を理解する際に、データ形式やデータ解析ツールの情報共有や共通データ解析ツールの開発といった国際協力が大きな力となります。

ジオスペース研究に密接に関連した国際プログラムとして、SCOSTEPによるVariability of the Sun and Its Terrestrial Impact (VarSITI) プログラム (2014-2018年) やNASAによるLiving With a Star (LWS) プログラムが現在進められています。